◆メールの問題の切り分け
□送信と受信
メールは、送信と受信で異なるプロトコルを使っています。そのため、トラブルの原因を分析する際は、送信トラブルか受信トラブルかを区別します。メールソフトの多くは、ワンタッチで送信と受信を行えるようになっているので、一見すると区別がつきませんが、エラーメッセージを確認するといずれのエラーかを区別出来ます。
受信と送信の両方に異常がある場合は、メール受信を先に復旧させます。その理由は2つあります。
1点目は、メール送信でPOP before SMTPを利用している場合があるからです。この場合、メールを送信するには、メール受信の処理で正常に認証される必要があります。
2点目は、運用面での問題回避の為です。メール送信は、その内容に問題がなければ他の人が代わって送ってもらうことも可能ですが、メール受信は必ず本人のメールアカウントでなければ受信できません。
□エラーが発生する処理の特定
トラブルの原因分析の際は、メール処理の流れをイメージします。

前段階の処理の成功が確認できていない状態で、後の処理を調査しても意味がありません。例えば、メールアカウントやパスワードをチェックする前に、メールサーバーへの接続は必ず確認されている必要があります。
□認証関係
メールサーバーに接続できても、IDやパスワードの誤りによってエラーとなる場合があります。メールサーバーに接続する為のIDを、メールアドレスまたは回線に接続するためのIDと誤っている場合があります。またメールアドレスをIDとして利用する場合も、”@”以降を付ける場合と付けない場合があります。まず、正確なIDやパスワードを使っているのかを確認します。
また、付加的な認証機能についても注意します。具体的には次の点がメールサーバーに合っているかを確認します。
●APOP
●SMTP認証
●POP before SMTP
□メールのサイズ
メールサーバーによって、扱える最大サイズが異なります。ファイルを添付する場合には注意が必要です。特に受信メールサーバーは、サイズ超過を通知しないことが多いので注意します。受信メールサーバーが通知しないのはDoS攻撃対策の為です。
送信時のサイズの見積もりにも注意が必要です。ファイルはそのままの形ではメールに添付することはできません。そのため、添付可能な形に変換されます。このときにサイズが膨らみます。したがって、上限に近いサイズのファイルは送信できなくなります。
□文字化け
文字化けが発生している場合は、大半はコード系のミスマッチが原因です。コード系とは、文字を内部形式で表現する方式のことです。コード系が異なれば、同じ文字でも内部的に表現される数値が異なります。たとえば「愛」は、シフトJISコードでは16進数の88A4、EUCコードではA6B0 となります。通常は、メールソフトがコード系を自動的に判断しています。この自動判定がうまくいかないと、文字化けが発生します。このような場合は、メールソフトでコード系を変更すると、正常に表示できます。